世界糖尿病デーは、世界に拡がる糖尿病の脅威に対応するためにIDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が制定し、2006年12月20日に国連総会において「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」が加盟192ヶ国の全会一致で採択されると同時に、国連により公式に認定されました。世界糖尿病デーである11月14日はインスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日であり、糖尿病治療に画期的な発見となったことに敬意を表し、この日が世界糖尿病デーとして顕彰しています。

世界各地で糖尿病の予防、治療、療養を喚起する啓発運動を推進するにあたり、愛媛県糖尿病協会においてもその趣旨に賛同し関係機関と連携して、自分の体のことを知ることと糖尿病について正しく知ることに取り組んで参りました。今年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う新しい生活様式に準じ啓発活動は中止となりましたが、11月8日~14日が糖尿病週間です。市民一人ひとりが糖尿病に対して、正しく知り、対策を行って、活動の輪を拡げていくきっかけになれれば幸いです。

世界糖尿病デーのキャンペーンには、青い丸をモチーフとした「ブルーサークル」が用いられます。国連やどこまでも続く空を表す「ブルー」と団結を表す「輪」をデザインし、 “Unite for Diabetes”(糖尿病との闘いのために団結せよ)というキャッチフレーズとともに、世界中で糖尿病抑制に向けたキャンペーンを推進しています。愛媛県内では活動趣旨に賛同いただいた施設で世界糖尿病デー当日の11月14日にブルーライトアップを実施していただけることになっています。市民の皆様にはその趣旨をご理解の上で、ブルーライトアップを楽しみましょう。

愛媛県糖尿病協会 世界糖尿病デー実行委員長山本 真吾

愛媛県糖尿病協会 世界糖尿病デー実行委員長 山本 真吾

愛媛県内のブルーライトアップ写真

愛媛の糖尿病予防・治療に携わる医療者や患者さんからのメッセージ

  • 愛媛県糖尿病協会会長 阿部芳典

    愛媛県糖尿病協会 会長阿部 芳典

    私たち患者にとって世界糖尿病デーは、自らの病気についての認識を新たにするよい機会ではないかと思います。血糖コントロールに対するモチベーションの維持には苦労しますが、糖尿病の治療が特別なものではなく、日常生活の一部となるようにしたいものです。

  • 医師 松山赤十字病院 内科(糖尿病・代謝内分泌) 近藤しおり

    松山赤十字病院 内科(糖尿病・代謝内分泌) 医師近藤 しおり

    今年の世界糖尿病デーに際して、皆さんにお伝えしたいこと。

    「今こそ、血糖コントロールを良好にしましょう。」

    COVID-19の重症化リスクに糖尿病も挙げられているので、不安にお感じの方も多いと思います。中国湖北省の7337人のCOVID-19患者さんにおいて、糖尿病を持っている人の死亡率は糖尿病のない人に比べて高い(7.8%対2.7%、調整済みハザード比1.49)という中国からの報告※があります。一方で「糖尿病があっても血糖コントロールが良好であれば重症化予防でき、死亡率も改善することも同時に述べられています。

    つまり、「3密を避ける」ことが重要なのはもちろんですが、「血糖コントロールを良好にする」ことがとても大切です。自粛巣ごもり生活、定期受診控えなどで、血糖コントロールは悪くなっていませんか?今こそ、バランス良い食事、適度な運動、睡眠時間を意識した規則正しい生活で体調を万全に整えておきましょう。そして、主治医の先生と日頃からよく相談されておくことをおすすめします。

    ※Cell Metab. 2020 Jun 2;31(6):1068-1077

  • 歯科医師 瀬尾歯科医院 瀬尾達志

    瀬尾歯科医院 歯科医師瀬尾 達志

    皆さんは歯周病という病気をご存知ですか。これは、歯の周りの組織の炎症によって起こる病気です。歯周病と糖尿病は相互に関わり、お互いを悪化・重症化させることが近年分かってきました。逆に、歯周病の治療をすることで糖尿病の重症化を抑制することも分かってきました。歯周病はほとんどの場合予防する事ができます。定期的に歯科医院を受診し、歯周病の予防・治療をすることでいつまでも食事を美味しく楽しんで下さい。

  • 看護師 愛媛県立中央病院 兵頭佳代子

    愛媛県立中央病院 看護師兵頭 佳代子

    今年度はCOVID-19の影響でイベントが中止となり、みなさんとお会いできず寂しい気持ちです。自宅で過ごす時間も多くなったのではないでしょうか。いつも私たちを大切な場所へ連れて行ってくれる『足』を労って、普段より丁寧に足を観察してみませんか?足の爪や指の間など足の隅々までよく観察しましょう。お気に入りの靴はすり減っていませんか?毎日のフットケアで大切な足を自分で守ることができます。気になることがあればかかりつけの主治医や看護師に相談してくださいね。

  • 臨床検査技師 済生会西条病院 杉豪介

    済生会西条病院 臨床検査技師杉 豪介

    これまでにない不安や我慢の日々をお過ごしの方も多いのではないでしょうか。そんな今だからこそ、体調管理はしっかりできていますか?うがい、手洗いはきっちりできていますか?現在各医療機関でも感染対策をしっかりと行い、通院されている患者様が困ることのないよう努力しています。なので安心して受診してください。3密の回避は必要ですが、地域、職場、学校、家庭等、皆さんの回りの人たちを大切に、思いやりを持って接しましょう。その皆さんの行動が日々を良い方向に向かわせるものと信じています。この調子で頑張っていきましょう。

  • 愛媛大学医学部附属病院 薬剤師武市 佳己

    世界糖尿病デーでは薬剤師は例年、おくすり相談を行っています。

    健康食品、サプリメント、機能性表示食品やお薬どうしの飲み合わせについてのご相談が多いです。

    糖尿病でのお薬による治療には内服(飲み)薬と注射薬の2種類があり、患者さん一人一人の病状によって内服薬・注射薬だけの方や注射薬と組み合わせて治療されます。疑問や分からないことについては遠慮なく薬剤師にお声かけください。

  • 愛媛県立中央病院 理学療法士 天野貴裕

    愛媛県立中央病院 理学療法士天野 貴裕

    新型コロナウイルスの感染拡大によって私たちの生活様式は一変しました。外出自粛要請によって運動療法を中断された方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、コロナ禍において動画配信などのコンテンツになどによる自宅トレーニングの充実や、リモートトレーニングの登場など運動療法の新たな可能性を見出した側面もあります。

    新型コロナウイルスに負けず、自分に合った運動を楽しく実施していきましょう。

  • 愛媛大学医学部附属病院 管理栄養士 永井祥子

    愛媛大学医学部附属病院 管理栄養士永井 祥子

    糖尿病の患者さんは免疫力が低下しやすく、感染症にかかると悪化しやすいと言われています。特に血糖値の上がりやすいジュース、菓子類の取りすぎやインスタント食品、麺類、ご飯類やパンだけ等、糖質食品ばかりに偏った食生活は高血糖をきたしやすく、気を付ける必要があります。世界保健機関(WHO)においても、適切な栄養と水分補給が不可欠であることが掲げられており、バランスの取れた食事に努め、免疫力を高めましょう。